ナミゾウカンパニー セカンドプレイス部

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

およそ28日間隔でネイルサロンのお世話になっています。新型ウィルスが流行し始めてから通い始めました。マスクをきっちり装着し、会話は最低限とあらゆる場所で制限や決まりが現れました。

それでも当初お願いしていたサロンのスタッフさんはどなたもフレンドリーで、そこで教えていただいたことから韓国ドラマのファンになりましたし、他にもたくさん知ることがありました。

転居してから通う今のサロンでも規制は同じでしたし、担当してくださるK山氏は物静かで、パーソナルな話題は全くしません。わたしにはそれがむしろ快適で、ぼんやりできる良いひとときをもらえています。ご自分の話だけでなく、こちらのあれこれにも深掘る方もいますがどうも苦手です。

サロンのブースは3名分のチェアが横並びです。パーティションではなく目の細かいレースカーテンを天井から床に届くほどに引かれていて、ネイリストさんたちとはアクリルのパーティションで仕切っています。

4月の中旬よりその仕切りが少しずつ外され、隣のブースの声が以前よりクリアに聞こえます。わたしとK氏はほぼ会話をしませんから、お隣のお客様とネイリストさんのそれが聞こえてきて、盗み聞きではなく耳に入るのです。

ネイリストさんがある日ベランダで洗濯物を干そうと出るとハンガーが少なくなっていて、どこかへ飛んだかなと思い、100円ショップへ買い足しに行ったそうです。数日後また同じ作業をとベランダへ出たところ、一本残らず無くなっていた。これはどう考えてもおかしい。しかし何一つ干していない空のハンガーが無くなるのは洗濯物泥棒とも思えず、考えたそうです。最近カラスの声が大きく聞こえるなと思い出し、さては、と別の日にベランダで布団を干し、その陰に隠れて待ち伏せしたところ、やはりカラスがハンガーを奪って行こうとしたのを目撃、

「コラっ!!」

さすがにカラスは驚いて略奪を諦めて飛び去った、と。

笑いをこらえるのが厳しい時間でした。ネイリストさんが声優さんかと思うほどの、アニメーション向きの良い地声なんです。その声でカラスを待ち受けたあと布団の間からぬっと出て叫んでいる様子を想像したら面白すぎて。その後もお客様とのカラス体験についての談義が続き、奴らは賢いし、人間の顔も覚えるので酷いことをすると、仕返しにくる、そのハンガーはきっと巣作りに使うのだと。

ビーズやガラス、光るものを好んで巣に持ち帰ることは知っていましたが、巣作りに針金ハンガーは最適なんですね。後日、日経新聞紙上で、中部電力の社員が送電線や電柱に掛けられたカラスの巣を撤去する作業に追われる日々が続いて、とありました。やっぱり、と思いました。

カラスたちについては一つわたしにも面白い体験があります。寝室にしている部屋のすぐ近くで短期間ではありましたが、大勢が作業する工事が行われていました。マンションの掲示板に工事期間のおしらせが貼ってありましたから、その期間が終わっているのに、作業員さんの声が聞こえます。しかもなんだか工事場所と示されていた場所ではないところから。窓を開けると商店街のアーケードの支柱のてっぺんにいるカラスが、

「ほわぃ、ほわぃ」

と繰り返しています。そう、先輩の指示に返答をする後輩くんの返答を声真似しているのです。大きい声で返事をするんですが、どこか力の抜けている声で。何度か繰り返して、途中声が裏返り、

「ヒョぇ」

になり、それからまた気を取り直し、しばらくほわぃほわぃとしゃべっていました。生き物の中で賢いと思い込んでいるのはヒト類だけなんでしょう。

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