皆様本日のご機嫌はいかがでしょうか。
5月の最終週は関東におり、埼玉県在住の友人を誘って遠足に行ってきました。都内に住んでいた折に彼女から聞いていた千葉県にある「DIC川村記念美術館」をずっと訪ねたくて今回ようやく実現しました。
腰が重かったのが、住んでいた街からは遠く感じ、また電鉄の駅近くでもなさそうですので自動車運転ができない私と、免許そのものを持っていない彼女とでは行きづらいだろうなと考えていたからでした。ですが、再度調べてみると東京駅から美術館前まで60分で連れていってくれるバス便があると知り、友人を誘うと「行くわ!!」と賛同を得ました。
前回横浜の動物園「ズーラシア」遠足の当日は一日中しっかりめの降雨。今回も「雨を呼ぶ女」パワーで雨雲が・・・と恐れましたが、友人の「サッパリ晴れ女」パワーが勝ちました。日本人にとっての大型連休が終わった後だからか都内の混雑もゆるやかな平日、千葉方面に向かうバスも乗り込む乗客が少なく、後部座席で行きも帰りも彼女とボソボソボソボソおしゃべりができました。
バスは美術館のエントランス前までピタッと着けてくれて、迷いません。乗り物酔いに悩まされない幸運なる私はバス乗車移動が好きで用があればよく利用しますが、「〇〇前」の停留所名には何度もだまされた感を持っています。「前」「横」と表記されていてもバス停を降りてから知らない街の知らない道を渡ってようやく目的の建物だった。その経験が何回もあることからすると、この停留所は素晴らしい。迷いようなくバスステップを降りると目前に美術館の敷地が広がっていました。
さて。食い意地選手権常連の我々は事前下調べの上、先にランチを取ると決めていました。館内にあるレストラン「ベルヴェデーレ」。美しい眺めとの意だそうです。グスタフ・クリムトの作品が多く収められている美術館の名ですね。緑がいよいよ濃くなった庭園を眺めながら千葉産の鮮魚を使った料理を含むランチタイムのコースメニューを味わいました。サービスの方々も品よく、前菜の説明も柔らかくて助かりました。
満腹になってから本館へ。私の考えでは元々の地形のまま整備したであろうなだらかに傾斜した敷地を歩いていくとサイロに似た建築物が見え、館内でまず見るホールの装飾が素敵です。過剰でなく、暗すぎず、絶妙だなと思いました。当日の特別展は「カール・アンドレ 彫刻と詩、その間」でした。浅学のため彼の名も著名作も知りません。しかし、床面に置かれた展示作品のいくつかは実際にその上を歩くことで硬さや質感を実体験できる、そんな鑑賞法は初めてでした。ですから今後彼の名はきっと脳内に残るはずです。作品の色彩は黒から白の間を多用したものや、それ以外でもダークな色合いが多く、詩作表現もあるため「哲学色」が強いなと思いました。
ここから館蔵作品の展示室へ移動し、レンブラント、モネ、ピカソ、それから現代アートへと多様な作品を見ることができ、その展示室がどれも広くて作品を遠視できるのです。来館者も少なかったため鑑賞もじっくりでした。レストラン同様、曲線を活かした木々越しの自然光を取り入れた光差す展示室もあり、建物好きにもうれしい場所です。
制作品についてはそれぞれの受け止め方があるでしょう。美術館の良さとは、何を見、それを覚えて帰るかではなくそこにしかない空間や自然の一瞬を感じて自分のどこかに残っておればいいなと思え、またそこでぼんやりできるデフォルトモードネットワークの間に脳が休んだり、また思いつくこと整理ができること、なのだと思っています。
本館での鑑賞後庭園を散歩しました。これは維持管理に費用がかかるだろうなと想像できる美しさです。それは造園部分でもあり、元の植林部分を活かしているであろうわさわさした場所でもあります。まさに四季折々違う緑や鳥の啼き声を楽しめるでしょう。現在も植林整備中と案内マップにありましたので、今後もあの伸びやかな庭園が広がっていくんだなと想像すると楽しくなりました。
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