ナミゾウカンパニー 旅行部1課-遠足係

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

猫の目のように気分が変わる、や猫は気分屋と昔から聞いてきました。ですが何事にも決めつけは良くなくて、例外の楽しさもあります。

実家のあった集合住宅は規定で猫の飼育が許可になっていました。ふた親もそれまでに住んでいた家から猫を連れ転居していきました。

時々実家に行くと、エレベータの近くで歩いている猫を見かけます。大抵は目が合うと、

① 姿勢を低くし上目遣いで睨んでくる

② こちらの前進を察知すると迅速に逃げる

の流れになります。だけどその子は目が合うとこちらに寄ってはこないものの、声を出すのです。それが、

「うにゃ、にょ。にゃぬぅ。にゃぅぅにゃあん」

と、何事か「しゃべって」いるように聞こえます。面白くて、

「何なに。あなたこの棟の子?何階?」

と話しかけエレベータのカゴが来たので、

「乗るの?」

と聞くとまたしても、

「うにょう、みゃう」

としゃべり本当に一緒にエレベータに乗り込んできました。7階で降りると付いてきて、これはいかんと、

「君んち、ここじゃないでしょ」

と言うと文句言いたげに、

「にゃにょぅ」と違う方向へ去って行きました。すぐさま実家の親にそれを言うと、

「あー知ってる。よぅしゃべんねんあの子」

と名物猫のようです。毛並みも汚くなかったので、野良暮らしではなさそうです。しゃべるし、それがまた応答になる猫もいるんだ、と人生で初めて見たおしゃべり猫とまた会いたいものです。

この愉快な猫さんに会った集合住宅の前に住んでいた4軒長屋の端にあった実家は隣家との間にブロック塀があり、食事場所だった部屋の窓を開け閉めする際にキャットウォークを行くように歩いている猫を見かけると、母は毎回、

「おはよう。どこ行くの?どこの子?」

とごく自然に話しかけていました。弟がある日その現場を目撃し、

「お母はん。近所の人におつむを疑われるからやめろ」

と制止していましたが、お構いなしにそれからも猫を見ると語りかける母でした。

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