みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。
プロ野球シーズンの約1/3が戦われてきました。身体能力は低め、テニスには親しんだ経験があってもそれはただラケットを振り回した時間があったと言うだけで、競技者ではありませんでした。それと観戦好きとは別物でしょうが、それにも関心はありません。甲子園球場の近くに住む同級生は阪神ひいきで体操競技観戦も好き、埼玉県在住の友人もまた「タイガースファン」で二人とも球場まで行くそうです。彼女らは楽しそうでいいなとは思いますが、いまだにスポーツ全般を観る気にはなれません。
我が家の一台だけのテレビは野球中継と、スポーツニュースが優先されています。ようやくここ数年で、パソコン経由での動画配信を観る方法を知ってからは不満も減少しましたが、大きな画面で観たいことには変わりありません。
実家で親と暮らしていた頃は、父がガチガチの「ジャイアンツファン」のため、やっぱり春から秋は野球一色です。昭和中期にはドーム球場は少なく、雨天中止の時だけは好きな2時間ドラマをオンタイムで観ることができ、うれしかったものです。父がゲームに夢中になっている時、飼っていた猫がヒットやホームランの打球が画面上でスーッと移動すると、小さなその白球に飛びつくためテレビ画面に突撃します。何度も父の怒りを買い、怒らせていました。ジャイアンツが優勢で、勝ちが見えてくると父はごきげん、その反対ですとまず音量が少しずつ下げられ、やがてミュートになり、消してぷんぷん怒りながら風呂へ行っていました。
高校へ入り、社会科の教諭が授業開始のため教室に来て、教卓に出席簿や資料をドンと置くなり、
「俺は今日。すこぶる機嫌が悪い。なぜか。昨夜タイガースが惨敗したからである」
の発言で授業が始まったこともありました。
働くようになってから、常連のお客様との会話にも野球談義がありました。談義と言ってもこちらは前述の通り関心がないので、常に聞き役です。それでもタイガース大好きのそのお客様が父と同じはずと思い、やや勝率が良くAクラスのリーグ優勝も狙える位置から負けが続いていたので、
「最近弱いですよねぇ、阪神。日本シリーズに出なきゃいけませんのに」
とお世辞満載で気の毒そうに言うと、
「優勝？そんなんえぇねん。勝とうが負けようが面白い試合、見せてくれたらええのよ」
と、常に手短な言葉のそのお客様は言ってのけました。驚きましたが、ファンの本当の気持ちなんだなと感心しました。
母の顧客様にはタイガースの一軍選手夫人がいて、遠くからでも目にとまる、まさに目の覚めるような美しい方。気さくで朗らか、声までもきれいな方でした。お近づきになれそうでしたがそれでも野球ファンになるには至らず、今年もまた、
「あーあ。今ドラマを観たいのにな」
の季節です。
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