みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。
映画好きの友人の提案で、
「エブリシングエブリウェアオールアットワンス」
を鑑賞しました。アカデミー賞受賞作です。主演俳優のMs.ヨーがボンドガールだったことを聞きかじり、そこから興味を持って一人で観に行こうかとも考えていたので、渡りに船、です。
作品全体のトーンはアクションが多く展開される場面が多いにも関わらず、私には静かな映画に思えました。キアヌ・リーヴス主演の「マトリックス」シリーズの構造さえ理解できないままいつも観てきたので、こちらでもメタバースの意味がつかめず、筋を追うのみでした。
主人公の女性が生活のあれこれにふりまわされながら、まさに「メタ」な設定の世界を飛び回るのですが、そこへ行くための「スウィッチ」に脱力しますし、好きな進め方でした。おかしさは大真面目になっていけばいくほど広がりを持つと前々から思っています。ですがそれは計算や組み立てを始めると減っていくとも思います。「巧まざる笑い」がとても好きです。
それから、これほど中国語が使われる作品を観たことがなかったので、新鮮です。日本語の響きが他言語しか使わない方に、つまり意味をさっぱりつかめない耳にどう聞こえるのか分かりませんが、その感覚でそれぞれの役が中国語で感情表現をしているそのリズムと音がとてもいいなと感じました。小さな国土の日本でも方言をすぐ理解できないこともあるのに、あれほどの大陸ですから地域によって全く違うのでしょう。映画では標準の言葉、つまりニュース映像で聞く中国国営放送のアナウンサーが使う話し方だったのでしょうか。中国語を使える人と知り合いになれる日が来たらぜひ解説してもらいたい。映画では家族の間でも中国語で会話したり、アメリカネイティブですから娘は英語でスルスル話す、その混ぜ方が面白いと思いました。ほんの時折その会話の一部に英語が聞き取れ、また中国語に戻っていくそのスウィッチが、創作なのか、本当にミックスしながら日々会話をしているのか、それもまたアメリカ在住の中国コミュニティの方に教えてもらえると楽しいだろうなと思います。
ずいぶん昔の記憶です。本で読んだのか人から聞いたのか定かではありませんが、世界で話されている言語の中で、聞いていて美しいのはフランス語と中国語の二つだと聞いたことがあります。濁音の少なさが他言語と比べてかなり少ないのだそうです。今回映画を観、主要登場人物たちの会話やひとりごとを聞いていて心地よかったのは、新鮮さだけではなくその言語特有の良さがあったと思います。いずれにしても意思疎通のため、言語の感覚や、その使い方は大事にしていきたいし、他人のそれも大事にすべきと思います。
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