ナミゾウカンパニー 映像部2課

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

ウイルスで世界中が振り回された3年間は、Netflixの配信を一番多く観ていた3年間でもありました。海外志向が強いわけでも、縁があるわけでもないけれど、日本語以外の言語での会話と外国の文化に興味があります。

U-NEXTを契約してからも主に英語圏のものを観てきて感じる違いを、警察ドラマの中に感じます。

国営放送局の番組で偶然知った、俳優「貫地谷 しほり」氏が日本語吹き替えを担当している「アストリッドとラファエル」はフランス、パリ警察が舞台です。これを観る前はニューヨーク市警、ロサンゼルス市警、同じくロサンゼルス特殊チームのS.W.A.Tを視聴し、さらに今はボストン市警の「リゾーリ&アイルズ」」を熱心に追っています。

あなたへのおすすめ、これを観た他の人はこちらも観ています、の案内から見つけた英国ヨークシャーに住む男性が主人公になる「アラン・バンクス」がこの程度かしらと考えていた以上に厳しい内容でありながらも、事が起きてしまうに至る誤解や、第三者としてのわたしには理解しにくい登場人物の行動が密度高く描かれています。

ざっと4都市の風景や文化を背景に見ていると、ロサンゼルスは、全体に画面の明度が高いです。もちろん毎回犯罪が起き、遺体が出るわけですが、それでも太陽光のせいか明るく感じます。ニューヨークは街が持つピリピリした緊張感がいつも漂っていて、バッドガイズが出るとさらにその緊迫感が増すわけです。アメリカが一般人の銃携帯が可能の国であるなとつくづく思うのは、ロサンゼルスの警官たちは、バッドガイズを発見するとガンアクションの構えにすぐ入ります。しかしボストン市警の彼らは必要な時に銃を構えます。その流れでどちらの場所でも容疑者の手が動く前に射殺、になる場面も多く、その度に、

「息の根を止めてしまったら、真相がわからんじゃないの」

と画面に向かってぼやいています。パリ市警での描写で驚くのが、容疑者の自宅を特定してドアを壊してアパートメントに突入する際に特殊部隊隊員以外の軽装備の警官がライフルを構えて進んでいく事です。このシーンにも、

「え。熊でも撃つの」

とテレビに質問しました。ヨーロッパの落ち着きとさらに古都パリの静かな街並みが映るので、これまた被害者が惨殺された事件がテーマであるにも関わらず、捜査の間に交わされるパリジョークとフランス語のフォギーな音が心地よく感じます。

そこで「アラン・バンクス」です。ロンドン市の中心街だけには行った経験があるので、人の多いざわっとした街だったなという記憶だけがあります。在住60年超の日本国地図を正確に書けることすら怪しいのに、英国の地理はまったくわからず、ただ映る景色が広々と見晴らしがいいものの、とにかく明度が低くて暗い印象が続きます。オープニングとエンディング、バックグラウンドで流れる音は、いずれもマイナー曲調です。

一話目を再生し始めてすぐに、主役を演じる俳優さんが「渡辺 謙」氏に見えてきました。目を見開き、まくしたてたかと思うと綺麗な女性とウイスキーを飲みながらうっとりしている、そのコントラストを演じ分け、親しい者の死に驚愕しよろめきながら涙をこぼす、喜怒哀楽がくっきりしています。部下や上司から予想外のことを言われて、力が抜けてやれやれうんざりしている表情もすてきです。

顔を見ていると「渡辺 謙」氏なのですが、その声は「トム・ハンクス」氏の声によく似ていて、何話かじいっと観ているうちに顔の骨格が似ているように感じます。アランの私生活や、これまでが描かれるのか、それは続きを観ないとわかりません。しかし、迷わず、正しくない行動を一切せず、利他精神だけで生きている人が稀なように、どこで道を踏み外し、そこから後戻りできなくなるのかをこのフィクションシリーズが教えてくれるように思います。画面が暗いんですけれど。

コメント

タイトルとURLをコピーしました