ナミゾウカンパニー 美化部

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

ひまだから、余計なことを考えるのだ、忙しくしておれば1日が過ぎ去っていて、眠ってまた次の日に働けば良いのだ。あるいはまた、時間の経つのを忘れるほど打ち込めるものを見つけるといい。おおよそこの二つの助言を受けてきました。

洗濯をしていても掃除をしても、それらが苦行であることに変わりはなく気晴らしにはなりませんし、手を動かしてはいても嫌な気分が消えていかない性分です。年老いていけば自然に気分の落ち込みもなくなるよとハミゾウ(夫)に言われたこともあります。集中できる何かに巡り合うかなと、長年期待してきましたが、今は探すことをあきらめています。

気持ちが曇り出すと、その雲は居座ったまま消えてはくれず、最もひどい時は電車内で乗り合わせた人様が全員裕福な人に見え、努力しない我が身が情けなくなります。

犯人探しもやめました。気分をほんの少しでも美化できる瞬間が時折あれば幸運、と思うようにしています。

小説や新聞記事、人物紹介あらゆる文章の中に救ってくれる言葉があり、それらを理解できる状態でいられるうちは書き留めたり、読み返すようにしています。

正岡 子規氏の「病牀六尺」には

「悟りといふものは、いかなる場合でも平気で死ぬることではなく、いかなる場合でも平気で生きてゐる事であつた」

の一文があります。

海外ドラマ「エレメンタリー」のメインキャラクターであるジェーン・ワトソンは、

苦境は去る。強者は残る。これも過ぎる。今日だけ我慢。

と言います。薬物依存からのリハビリ途上にある人にかける回復の言葉の一つだそうです。

作家の「山崎 ナオコーラ」氏は官民挙げてかまびすしく言われる輝く未来へ女性総活躍、との音頭に対し、

「雑談や消費の選択によって経済社会を動かす主婦・主夫も社会人。家庭運営者、家事技術者はパートナーに養われているわけでも家族がクライアントなのでもない。社会を良くする高度な職業。金につながる職業に就く、収入を得ることで[輝ける]がおかしい」

と見事に喝破されています。家庭以外でキャリアを積み、資産を築いている知人を思い出すたびに無価値のわたし、とひねくれていた時に山崎氏の文を見つけて、爽快感を持たせてもらえました。時折こんな砂漠で見つかる砂金のような心強い励ましに勇気をもらいながら、この世界での修行を続けます。

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