ナミゾウカンパニー 諺部1課

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

アミゾウ(子)が就職に向けて企業について調べ始めたころ、彼女の言うことから、大手商社には注力する分野によって大きく、資源系、非資源系とに分けれられるというと知りました。

この表現に乗っかるとわたしは、生産性の低い、非生産系の人間です。

テレビを観ていて、

「この女優さんとモデルの〇〇さんとはいとこなんだよ」と張り切って発言したり、昔流行したおもちゃにつけられていた名前をいくつも知っていることをアミゾウからは、

「ほんとにどうでもいいことや細かいことを知ってたり、覚えてたりするのに理数系の成績が壊滅状態だったなんて、非生産系だ」

と言われました。理数学系の成績がよくなくてもそれは実生活に大きな影響はないのですが、それにしても思考のエネルギーを使う分野がトホホといえます。

数十年経った今になっても、鮮明な記憶があります。勤労者になって初めての職場でよく気にかけてくれた同僚がいました。わたしは現場の人間、彼女は事務方の責任者で、特に職位の上下はなかったのですが、転職されて入社した彼女とはかなり年齢が離れていたこともあり、ていねいに話をしていたと思います。一人住まいをされていた部屋にも呼んでもらったこともあり、職場での振る舞いと全く同じ整理整頓された綺麗なお住まいでした。

もう一人仲良くしていた同僚が結婚し、新居へ二人でおじゃました時のこと。インスタントだけど、と彼女がコーヒーを作って出してくれました。そのコーヒーびんをテーブルに置いて作っていると、

「イーロンさん(彼女の名前)、あなたダメよこれ。もう、剥がしなさいみっともない」

とびんに貼ってあった値札のシールをさっさと剥がしにかかる。イーロンさんは、

「やめて。剥がしたら、いくらで買ったかわからんくなるやんか」

と厳重抗議します。そのやりとりがおかしく、今に至るまで光景を忘れられません。そんな彼女は後年重い病にとりつかれ、難しい病状になりました。イーロンさんに誘われて、病室へお見舞いに行った時、彼女に、

「結婚されない人だと思ってました」

と話の流れの中で言ってしまいました。彼女はそれに対して、

「そうねそうだよね、ナミゾウさんやイーロンさんみたいに普通にしておけばよかったのよね」

としょんぼりさせてしまいました。一緒に働いていた時、ご実家が遠方なのでどういう理由で神戸へ来られたのか聞いたことがあります。その時、地元で婚約していた彼が交通事故で亡くなり、もう誰とも結婚しないと思い、故郷を離れたのよ、と聞かせてくれました。わたしとしてはそのことがもうドラマチックで、生涯独身を貫かれるんだと痛く感動したのです。そのことが頭にあり、言ってしまいました。

入院先へのお見舞いに関してもう一件、別の職場での同僚の病室に行った時。妊娠出産に関わる婦人科系の病気治療をしていると聞き、

「こどもさんのいない人生もあるわよ」

と言ってしまい、

「それなんだけど、あきらめてないんだよ私」

ときっぱり返されて、しまった、と思いました。

自己流の諺です。

「人に失言無し」

考えている、思っているから口から出るのであって、その人の中にないものはそうそう出ません。以上二つのやり取りで、実際にその時思っていたことを言いました。言わなくていいことをぬけぬけと言い放ったのです。

世に出ている様々な人々が、各自思うことを日々発言します。政治業者(代議士、政治家とは呼びたくないです。彼らにとって政治はなりわいです)さんがたも頻繁に失言への謝罪をされています。

ムカッと感じるのが、

「不愉快に思われたかたがいらっしゃったら」

と前置きするんですが、やいやい詰められるからしたくないけどこうして謝ってますねん、というふてぶてしさに対してです。

友人知人とのおしゃべりは大好物です。その場でずけずけと言いたくなっても思いとどまらねばなりません。言い出したいことのほとんどは先方には不要です。

失言は、親以外からはっきりと叱られ、注意される経験が少なかったのも一因だと思っています。鋭意努力です。

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