ナミゾウカンパニー 食堂部

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

食べ物や飲み物の記憶とともに、関わってきた人々との交流を思い出します。コーヒーはこどもの頃、町内にそれらを専門に出す店がなく、大人たちは少し離れた駅の周辺で飲むものでした。昭和時代の中期になり、徐々に住人が増え、それにつれて飲食店も多くなっていきました。

喫茶店を開いておられる方が母の経営する店舗のお客様でした。弟と同級のお嬢さんがいることもあって、会話もあったようです。その喫茶店へはよく通いました。オーナーのおばさまは渋い声でゆっくりと話す、当時20代前半の地味な育ちのわたしにはかなりミステリアスな方でした。お嬢さんのお父さんとは一緒に暮らしていなかったようですし、ヘアセットをする際にも、

「梅田のブロゥにして欲しいのよね。」

と、ドライヤーで仕上げるブロゥセッティングを大きな動きのある形にしてと希望を言ったり。梅田というのは一番近い繁華街で、東京の銀座に少し似た華やかな店の並ぶ「北新地」のある大きな街のことです。詳しく尋ねたことはなかったのですが、垢抜けた人でした。そのオーナーはコーヒーをサイフォン式で一杯ずつ落として出してくれます。豆を挽き、ヘラでゆらりゆらりと攪拌しながら抽出してもらうコーヒーはその香りを嗅ぐところから始まっていてとてもおいしいものでした。店内の内装もとてもシックで、おしゃれだなぁと思ったものです。

それからは長らくサイフォン抽出のコーヒーが一番いいと思っていましたが、関西にもじわじわスターバックスが増えてきた頃から、よく利用するようになりました。

どこで最初に味わったのかをどうしても思い出せません。スターバックスの少数の店舗でのみ設置のあるコーヒーマシン「クローバー」で飲んだ時に少しびっくりしました。神戸にもバリスタコンテスト優勝者がオーナーである店があり、とてもいい味ですので都合がつけばそこへ行っていました。それ以上にさわやかで雑味が少なく、飲みやすくかつ香り立ちがすばらしい。その良さを知ってからは、クローバーを最愛にしています。時間にして数十秒の手間ですがスタッフさんと会話をすると、みなさんほぼ全員がクローバーの良さを語ります。わたしも完全同感です。

3月の終わり東京にしばらく滞在しました。都内で働くアミゾウ(子)の住まいから遠くないところに「neighborhood store 奥沢2丁目店」があり、クローバーが設置されています。そこで「コスタリカ ハニープロセス」を作ってもらいました。これはリザーブという限定の豆の一種で、ガイドカードをもらえます。表面は書体やカラーが豆ごとにデザインが全て違い、裏面にストーリーが印字されています。以下要約しますと。

[コーヒーチェリーから果肉を除去する際に豆の表面を覆っている粘液層をあえて残し豆どうしがくっついてしまわないよう注意しながら乾燥させます。この粘液層がはちみつのような甘味を与えます。この加工法は水洗式に比べて水の使用量を抑え、ひいては周囲の環境保全、生息するジャガーの保護にも繋がっています。]

壮大です。わたしには値の張る一杯ですが、これはハニーと名付けられている通りの甘さがあり、1週間のうち2回もオーダーしてしまいました。ミルクも砂糖も使わないストレート派ですので、そのもののテイストが合うと大きなしあわせを感じます。

コスタリカ タラス地区生産者のみなさん、流通、そしてスターバックススタッフのみなさん、ありがとうございます。

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