ナミゾウカンパニー 美化部

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

20代は美容業での仕事をしていました。髪を整えることと和服の着付け助手を続けたのち、美容材料商社の営業担当者さんからの紹介で、メイクアップのショートレッスンに通いました。それが予想していた以上に楽しく、初級コースを終えてからもスクールへ行き、そこでのディプロマも取得しました。それでもその後修練を重ねて生業にしなかったのは、できなかった理由があります。

スクールの中盤、修了作品を仕上げる前に、講師から、

「ナミゾウさんは真面目ですよね。それはいいことですし認めますけれど、センスは教えられるものではないんですよ」

と厳しく告げられました。ヘタの横好きで通していけるほどの根性は当時も今も持っておらず、メイクアップの仕事で生きていくことはきっぱりあきらめました。

練習で覚えたことのいくつかは今も普遍で、それを思うと「人生に無駄なし」と実感します。わたしが通っていたスクールが採用していたのは「shu uemura」メソッドでした。最も好きだったワークは、アイブロウとアイホール周辺の表現でした。植村 秀先生の作品写真集も買ってうっとりと眺めるほど大好きでした。現在も変わらず人気のブティックを通りかかると素敵だなと思います。

アイメイクにカラーを使わなくなって久しく、20代にとんがったメイクアップを施していたその頃のことは、若さだけが良いという意味とは全く違う、おもしろかった遊びができた短くも幸せな時間だったと思います。両目のアイシャドウは中心部から左右、上下ともに違う質感と色を使って、さらにはアイブロウの真下にもまた違う色を使っていました。

来店したお客様に、

「右目の目頭寄りに使っているものが新色で、ラメも使っています」

という具合に我が目のまぶたをカラーパレットに使ってサンプルをお見せしていたようなものです。そのメイクアップで出かけていると、まず「ナンパ」なるもののお声がかかることはありませんでした。別の日にほぼ無色のメイクをして出るとなぜか、

「あの、もしよければこの後」

の種類のお声がかかってきました。やはり「攻め系」のメイクは男性からは敬遠されるのでしょうか。当節は多様性が当たり前ですからそんな傾向も薄れているといいなと思います。若い方々の交流事情の実際を知り得ないのですが、きっと男女問わず、人の数だけメイクアップがあることでしょう。

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