みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。
梅雨入りになると、見頃のあじさい名所が紹介されます。部屋に活けて飾って楽しむ人も多いでしょう。わたしが好きな花もごく短い開花時期を迎えるのが今頃です。
それは、京都市右京区にある「妙心寺」内の塔頭のひとつ「東林院」の境内に咲く沙羅双樹の花々です。夏椿とも呼ばれ、木の足元に配置された艶のある苔の上に椿が落ちると、京都初夏の絵の完成です。わらわらと茂っている森の樹木ではなく、間隔を持ったその林を見ているだけで気分が涼しくなります。
数年前に鑑賞した時には院の僧侶が、大気の汚れがひどくなったために枯死しかねない恐れがあり、このままだと沙羅双樹を愛でる会もできなくなると憂えておられました。それも人類がそれぞれの場所で生活をしている現実の続きなのかなと諦めていましたが、今年も鑑賞がかないそうです。この花々の終演とともに、厳しい暑さの数十日が始まります。
祇園祭の長刀鉾を偶然間近に見る機会がありました。主催者、関係者の皆さんのご苦労が想像以上であろうとは、ただ立っていただけのわたしにも身に染みました。蒸し暑い夏、とことん底冷えする冬、それらのどこかに珍しいものがあり、忘れがたくなる何かがある。小さくて狭いけれど大きなふしぎがひそむ古都が京都です。
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