ナミゾウカンパニー 映像部2課

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

U-NEXTで配信中のフレンチミステリー「アストリッドとラファエル」のシーズン1最終話視聴まであと少しです。

アストリッドは美しい女性ですが、他者との関わりについては少数派の特殊な感覚を持っています。ラファエルもまた美しく勇気ある女性ですが、デフォルメしたジョークを言ったり、核心から逸らした言葉を選んで、多数の人が使う表現をします。ラファエルの職場や友人はそのやり取りにひっかかることもなく、会話が進むのですが、アストリッドと数名の仲間は、あいまいに言うことや、体を触れ合わせることに理解ができません。

ラファエルは少しずつアストリッドの特性に気付き、彼女の持つ正確さと明晰な推論を尊敬し、友情を築いていく過程に気持ちが和みます。刑事課のドラマですので、毎回犯罪がからみ、残酷な遺体が出ます。検視官のムッシュウフルニエもまた、何を言い出すのだこの女性は、とアストリッドの指摘に不機嫌を隠さずにいたのが、その整合性に納得し、アストリッドに感謝を述べます。

アストリッドはパズルが好物で、それらを解いていくことが心を静かにしていられる方法のようです。また特定の他者と関係を結ぶことにも興味が薄いようです。ある事件捜査の現場で鑑識官の一人がアストリッドに興味を持ち、2度ウインクをしますが、彼女は良かれと思って彼に目薬を渡します。

「なぜ目薬を」

「先ほど目を閉じたり開いたりしていたので。わたしも目に異物が入ることはよくありますが、早く処置を。気になさらず。もう一本持っていますから」

と言うのです。このような思い違いは他者のことだと笑えてしまうやりとりです。チャールズ・チャップリンの名言、[クロースアップで見ると喜劇]です。他にもいくつか殺人や重大犯罪のストーリーの中で釣られて笑顔になれるシーンがありました。アストリッドが参加している集まりの仲間の男性が、思いがけずラファエルに助け舟を出します。彼としては平素接してきたアストリッドについて語っただけなのですが、お話はそこから糸口につながっていくのです。

事件解決をみたのち、この回が終わるシーンでその男性が一人で列車に乗っていて、座席から窓外を眺め、照れているような、でも心からのうれしさを隠しきれずにっこり笑うのです。説明はなくともラファエルが手配したのかなと想像させます。人はそれぞれ夢中になれるもの、それがあるだけでうれしいものがあります。フィクションとはいえ、他人のそんな表情を見ていてつられ笑いができる今のわたしは気分が安定していると感じられてうれしくなりました。

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