ナミゾウカンパニー セカンドプレイス部-6

みなさま本日のご機嫌はいかがでしょうか。

採用に至り、その場所で働く従業員の中で当日都合がついた全員での説明会がありました。新規採用の人は少なく、先輩方の数が圧倒していて、オペレーションの流れに乗ると大きな不安がなくなるのかなと彼らの言葉を横で聞いていて思いました。

それが終わり、出勤指定された日に初出勤です。ここでいきなりつまずいてしまいます。そろそろ戸締りをして出る時間だなと時計を見ながら家にいると、上司から直電がかかってきました。未登録の番号なので、少々不審に思いながら出ますと、

「ナミゾウさん、今日の10時出勤になってるんですが」

もう2日前からノートを確認し、iPhoneのカレンダーに記録し、廊下の紙カレンダーにも書いていたのにこれです。その電話に平謝りして、通話を終えると猛ダッシュで駅へ行き、降りた駅からまた人々の間をすり抜けながら焦りました。

職場は早朝から深い時間まで仕事があります。現場ではたくさんの先輩スタッフさんがスラスラとオペレーションしています。マネージャーもわたしが出勤の挨拶をしても特に、

「大遅刻だよっ!」

とも言わず、むしろシフト表を間違えてたかもねぇとの答えで、まずは先輩スタッフの動作を見て覚えてねとだけ言われました。気まずくはならず、もう遅れた事実は事実なので、働いていくしかありません。

食品を扱う仕事なので、それらに触れる時と、清掃時に使うものを教わりました。備品の場所、注意点を聞いているだけでまずは脳内メモリーが早くも増大していきます。そこへ昼時間です。ランチタイムは商品を取りに見えるお客様のピークタイムです。先輩方はそちらへ集中していくので、尋ねたり、彼らの手を止めるわけにはいかないので、掃除とゴミ箱の確認をします。

やがてその波が谷間になり、休憩をとらせてもらいます。ひとりふたりとシニアの同僚はいますが、別の時間帯出勤のようで、休憩室はヤングピープルで満載でした。彼らの会話を聞いていると自分が生まれてからすぐ60歳過ぎになった訳ではなく、同じ年齢を過ぎてきたんだなと感じ、何一つ会話内容は思い出せないけれど、毎日のどこかで笑ってたよなぁ今見ている光景のようにと思いました。

これこそがセカンドプレイスなのです。ただ同じアルバイト場所の同僚というだけで、少しわかりにくいことをおずおずと教えて欲しいと尋ねると、ていねいに教えてくれます。初老になった特権かなと不遜な考えを持ちました。ズルばかりしようとせず、できないことは素直にわからないですと聞いてそこでまず恥を広げておく。その後同じ間違いをしないよう、自分の工夫をしてみる。それでも先輩方の動作についていけなかったなら、その時が諦め時なのだと腹を括りました。

よし。お掃除と品出しと思われることは覚えられそうだと安心していると、

「さぁ、ナミゾウさん食品を作ってみましょう」

とトレーニング担当の先輩が来て言います。

「えぇとぉ、ナミゾウさんは・・・・今日・・今日から初出勤?他店舗で働いてたの?」

「いいえ。こちらが初めてで、食品関係も未経験です」

と訴えましたが、いやいやそれでもまずはトライです、と厨房に呼ばれました。そこからはものの名前とマシン操作、食品補充など滝のような情報量が現れました。

しかしです。この時の先輩が神様のような男性で、もちろんとても若いのですが、笑顔で

「何回でも聞いてください。うん、そうですね。正解です。それはこちらでしたね」

といった教え方です。まさに「刷り込み効果」で、彼がここでの「親」だと思い、ありがたいなぁ、運が良かったわと思いました。

性善説か性悪説かの二択で問われるとわたしは、きっぱり後者を答えます。それは各個体が自力で生き延びていくためには必要な本能だと思うからです。ですが紛争のない日本で生活する中では性善の人が圧倒しているとも思うのです。そしてその中でも相対する他者の感情を汲めるか汲めないかで関係が変わるものだと思います。

わたしにトレーニングをした日は偶然機嫌が良かったからというのではなさそうで、次回の出勤時にもその先輩を見つけたら急いで捕まえて、ノートを取り忘れた部分を聞かねばと思っています。

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