皆様本日のご機嫌はいかがでしょうか。
当地は暖かく風もおだやかでした。高校時代からの友人の誘いで甲子園に行きました。野球に興味のないかたでも甲子園球場はご存知ではないでしょうか。出身地の話題になった時、地名の兵庫県西宮市よりも阪神タイガースのホームがある町ですと言うとあぁ、とわかってもらうことが多いようです。シーズン開始はまだ先なのに、今日は最寄駅周辺の人出が多いなと球場の案内板を見ると、タイガースとオリックスのカードでオープン戦の当日でした。国営放送の取材インタビューに答える家族や友人グループが見え、お揃いのユニフォームを着込んでいたり応援用品をがっちり持っている人、みなさんいい表情。「推し活」の楽しさ満開です。
友人はそのオープン戦観戦ではなく、選手のサインをもらおうと思うのと言うので外周でしばらく待っている間、見上げると建物は十数年前に大規模改装をして全体に明るさが増しています。内部の設備も素晴らしくなってからは入場したことがなく、記憶は古いままです。市内の小、中学校に通った当時は合同体育会が甲子園で行われ、身体能力が低いわたしは運動会そのものは楽しめなかったのですが、場内の芝生を素足で踏んで歩ける種目があってそれは毎回快感でした。グラウンドコディションが絶賛される阪神園芸さんの技術を、失礼ながらはだしの足裏で感じていたのです。他球場に比べ左右の翼も広く悠々。月末には高校生が一等賞を目指すトーナメント戦が始まり今日以上のにぎやかさが数日続くでしょう。
友人が
「サインじゃなかった、名刺だったわ」
とやや期待外れの表情で戻ってきて、
「誰さんの？」
と聞くと、今成さんという引退された元タイガースの選手とのこと。ポジションや、成績を教えてもらってもわからないので、気の抜けた
「ほー」
で終わり。
球場を離れ、ランチをいただきに移動。彼女がここは前から狙ってたという予想通り、和牛だけのハンバーグを出してくれるお店で、表面の焼き色はしっかりついているのに中は柔らかく、いただくうちに冷めていっても最後まで口当たりが良い。彼女は食に興味があり、家庭料理でもどうやらおいしく作成しているようです。さらに言えば酒類にも付き合ってくれるので、堂々と真っ昼間のランチワインも飲めるわけです。よく食べよく飲んでくれる友人は貴重なところへランチタイムにもう一つの楽しみ、雑談です。
何年か前ふと、彼女を含めて交流のある友人知人の数は少ないのですが、つきあいが途絶しないのはなぜだろうかと考えたことがあります。共通点はわたしへの批判やしつこい忠告をしないし、自慢話が続くこともない。愚痴を聞くことはお互い様で、年齢を重ねてくるとそれらの量もヴァリエーションも増えてきています。けれども根がマジメな人ばかりで、ボヤいているんだけどマジメすぎて面白くなってくるんです。つまりわたしに解決策を求めてくるのではなく、言い放ちたいだけ。会っておしゃべりするのが億劫になってしまった別の友人たちを思い出すと、そこの話し方で違いがあって疎遠になりました。今日の部署は食堂部ですがこの様々なおしゃべりも実際にとっている食べ物飲み物へのスパイスであったりトッピングなんです。一部信仰の場ではこの3年続いたウイルス騒ぎの前から[黙食]が厳に守られているようですが、わたしには耐えられそうもないです。
帰宅してからLINEのメッセージで、仕事で疲れていたんだけど少し気が晴れたよと送ってくれた友人にはこっちもだよと返信しました。不死身ではないお互いはいつか顔を合わせて会えなくなるでしょう。その時までは話した内容は消えていて、だけどクセのある味だったとそれらの会話のテイストだけを覚えていたいと願います。
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